Procreateで描く建築の未来予想図

Education 2023年8月3日

住宅総合メーカー「大和ハウス工業株式会社」と共同で実施した、「建築における Procreate の活用事例」のオンライン講義の一部をご紹介します。

建築業界では、建物・空間の完成像を、お客様がイメージしやすい形で「見える化」するために、多くの提案資料が作成されます。Procreate を活用することで、業務の効率化につながるだけでなく、提案資料の表現の幅を広げることができます。

本オンライン講義では、Procreate の役立つ機能紹介の「基礎編」と、提案資料での活用方法を紹介した「応用編」の二部構成で行いました。

【基礎編】おすすめの Procreate 機能

基礎編では、建築ビジュアライゼーションで、役に立つ3つのProcreate 機能を紹介しました。これらの機能は、綺麗な図やイラスト・背景の制作時間を短縮できます。

  1. 描画ガイド

    選択した描画ガイドに沿ってガイド線を引くことができる機能。平面図や立体的な図を描く際に、有効的です。2D グリッド・アイソメトリック・遠近法・対称などの種類がありますが、特に遠近法は、建築パースで活用されています。(実際の活用方法は応用編をご参照ください。)

  2. QuickShape

    手描きの線やシェイプを綺麗に整えてくれるオートシェイプ機能。線、円弧、ポリライン (多角形)、楕円、三角形、または四辺形を綺麗に簡単に描けます。

  3. ブラシスタジオ(ブラシスタンプの作成)

    ブラシスタジオの設定は、既存のブラシの設定に加えて、自分の好きな絵や形のオリジナルブラシを作成する機能も備えています。例えば、提案資料で使用される木のイラストをブラシスタンプに登録し、手書きの手間を省けます。

ブラシスタジオでスタンプを作り作業の流れを短縮できます。


【応用編】Procreate を活用した提案資料

応用編では、Procreate を活用した「建築パース」と「平面図スケッチ」の制作について紹介しました。

建築パース

「建築パース」とは、建物の外観や内観を立体的に表現する図法のことで、平面では伝わりづらい建物のイメージや環境との調和を可視化できます。Procreate では、修正の手軽さや、便利機能の搭載というデジタルのメリットを生かしながら、手書き風の建築パースを作成できます。

内観パース

建築物の内装の完成イメージのことです。壁や床だけでなく、家具や照明、小物なども描画することで、実際の室内の印象や空気感をリアルに伝えることができます。

外観パース

建築物の外観を立体的に表現した図で、建物だけでなく周辺環境も描き加えることで、建物の調和を検討したり、建物全体のイメージを掴むことができます。

プレゼンテーションで紹介したページアシストの使い方

フォルムが複雑な家具や外観を描きたい時

イメージに近い画像をトレースしながら、オリジナリティのある形を簡単に描けます。また、「ぼかし(ガウス)」機能を使って、影のグラデーションを作成し、立体感も表現できます。シンボルツリーを置きたい時は、ブラシスタジオを使って、リアルな葉っぱを簡単に表現できますし、作ったシンボルツリーは、スタンプにして簡単に複製できます。

奥行きのある床や壁を描きたい時

描画アシストでガイド線を作成した上に、フリーハンドで線を描いていくと、リアルな立体感を保ちつつ、手書きの独特な味を表現できます。

サンプル壁紙画像をパースに使いたい時

iPad の画面を2分割に設定し( Split View )、好みのタイル・壁紙写真をドラッグ&ドロップして Procreate に挿入します。そして、「ディストーション」機能で、写真を壁や床、家具などのさまざまな形のものに合わせて埋め込めます。

「平面図スケッチ」での活用

通常、建築 CAD(設計図の作図をできるシステム)で描かれた建築図面は、正確さが求められます。

一方、建築のプレゼン資料で使用される平面スケッチは、一般の方でも建物の全体イメージがつかめるように、分かりやすさとデザイン性が求められます。Procreate を活用することで、平面スケッチに色鮮やかな着彩を加え、平面図から暮らしの雰囲気を伝えることができます。

またプレゼン時には、イメージの制作画面の各ステップを録画できるタイムラプス機能が有効的です。倍速で再生し、簡単に制作の一連の流れ Image を共有できます。

平面図スケッチはデザイン性の分かりやすさに注目しています。

隼田さんは、2016年ごろから Procreate を使用して、お客様への提案資料を作成してきました。Procreate 導入後の変化をこのように語っています。「以前は、紙ベースでプラン資料を作成してからスキャナーで取り込みをしていました。

Procreate を導入してからは、デジタル上でプラン資料を作成し、そのままメールでの共有がシームレスに行えます。ペーパーレスにも役立っていますし、業務効率も図れていると思います。また、プレゼン時には、一枚の完成プレゼン資料を見せるのも良いのですが、お客様の反応的には、タイムラプスをお見せすると、しっかりと考え抜かれてプランが成り立っているのを理解して頂きやすいので良いですね。」

このように Procreate は、提案資料作成時のさまざなシーンで、業務効率化をサポートできます。

そして、デジタルでありながら紙に書いたような「温かみ」を残せることも、メリットの一つです。お客様の心を掴む提案資料を作成したい方・資料制作の効率を図りたい方は、今回の Procreate 活用事例を是非参考にしてみてください。

プロの技

タイムラプスで表示したくないファイルや写真がある場合は、プライベートレイヤーとして挿入すると、ファイル内のレイヤーを削除したりオフにしたりすることなく、非表示にすることができます。

アクション>追加>「写真を挿入」もしくは「ファイルを挿入」を左スワイプすると「プライベート写真」を埋め込み参考として使用することができます。

<Procreate の社内導入をご検討の方へ>

Apple Business Manager サポートを利用してアプリを一括購入・インストールできます。詳細は、Apple Business Mannager スタートアップガイドをご覧いただくか、弊社サポート窓口にお問合せください。

関連記事