Lightbox Expo 2023: カリフォルニアでの夢のようなひととき

イベント2023年12月14日

Procreate の展示ブースから聞こえる距離で、あるアーティストがこちらのブースを指さしながら友人にこう言っていました。「あれ、新しいアニメーションアプリなんだけど、とにかくすごいんだよ」。アメリカ風に言うなら、「Aw shucks (いやぁ、それほどでも…)」といったところでしょうか。10 月 27 ~ 29 日にかけてパサデナ・コンベンションセンターで開催された Lightbox Expo 2023 (LBX 2023) にブースを出展するためにロサンゼルスにいました。その滞在中に受けたサポートが今の私たちの原動力となっています。会場のドアが開くと、Procreateのブースに向かって人々が文字どおり走ってきたのです。

この展示会は、パネルディスカッションやデモ、体験型イベント、才能ある出展者に、映画上映会、さらには アフターパーティーと盛りだくさんの内容で、出展者・来場者を問わず類まれな才能を持つプロを魅了しています。Procreate が 2023 年も再び主要スポンサーとなったのはこのためです。早くから多くの人々が詰めかけ、3 日間連続で参加した人たちもいて、300 を超えるブースをくまなく回り、200 以上あるパネルディスカッションのどれに参加すべきか悩む姿も見られました。

これほど素敵な疲労はほかにないでしょう。

Procreate のブースが設置されたのは、「Artist Alley (アーティストの小路)」と名付けられたこの展示会の中心。そこは、出展者が各自のアートを展示し、ファンやアーティスト仲間、将来雇用主になる可能性のある人々と出会う大切な場です。熱心な会話が絶えず交わされ、Procreate の iPad が最大音量でバイブ音を響かせていても気付かないことがたびたびありました。これだけのディスカッションを繰り返せば、展示会が終わる頃には声を枯らしていたはずです。実際、危ないところでしたが、親切な出展者にのど飴をたくさんいただいたおかげで何とかなりました。

Procreate Dreams Lightbox 2023 ブース

Procreate が広々としたブースに持ち込んだのは、リリースを控えた最新バージョンの Procreate Dreams と大量の iPad。LBX の参加者は、近日公開されるアプリを Text世界で最初に目にした人々といえます。ブース内でも上映会でも、息つく間もなく動き回っていました。

初日、濃いコーヒーを片手に展示会場に到着したとき、その四角い建物の周りには既に待ちきれない様子の群衆で長蛇の列ができていました。市役所の近くでは、アーティストにして作家でもある James Gurney 氏 (『Dinotopia』) とオレンジ色の帽子をかぶった 12 人のプロのアーティスト仲間たちが、展示会のオープニングを飾る特別イベント「plein air (屋外ペインティング)」セッションを設営しているところでした。何百人もの参加者が、各々好きな巨大キャラクターが平和なパサデナの街に降臨する様子を描いていました。その光景はまさに、静かな郊外に降り立った LBX の共同作業の精神と壮大な影響力を要約したかのようでした。

ロサンゼルスのダウンタウンとハリウッドの北東に位置するパサデナの街は、たくさんの木々とアールデコ様式の建築物が立ち並ぶ多様性に富む魅力的なエリアです。活気ある参加者のほかにひときわ目を引いたのは、展示会場の外に置かれたお馴染みの 3 匹の公式マスコット、Arra と Gigi と Bebe (またの名を RGB) でした。

ホールに足を踏み入れると、私たちを出迎えてくれたのは、Blizzard のシニアコンセプトアーティストである Airi Pan 氏が手掛けた巨大ポートレート。そこには、夜中に 2 人の女性が小舟を操り、頭上から天体の雨が降り注ぐ中で海面に浮かぶ星を引き上げる情景が描かれていました。それはまるで、展示会場で掬い上げられるのを待っている、アートという名の宝物の海へと誘う壮大な導入のようでした。 

Lightbox が初めて開催されたのは、2019 年のこと。コロナ禍による紆余曲折を経て、イラストレータ、アニメーション、産業界、そしてファンの間で急速に勢いをつけています。2023 年は LBX にとってこれまでで最も盛況な年となり、参加者はネットワーキングや、業界をリードする出展アーティストと直に話せる機会を存分に楽しんでいました。また、プログラム全体を通してたくさんのデモが行われました。たとえば Aaron Blaise 氏 (『The Lion King』) は、参加者に向けて Procreate Dreams とともに、このアプリを使った短編映画の制作秘話を紹介しています。

Aaron Blaise 氏がシビックホールで Procreate Dreams デモンストレーションを行う

チケット所有者の創造性をみんなでシェアするために、共同で落書きできる巨大な壁が設置され、すぐに落書きでいっぱいになりました。誰もが創作意欲に燃えていたのは明らかです。参加者は、グループになって絵を描くイベントや、粘土を使ってコンセプトの開発や、正確な照明、カラー、構図の問題を解決する学びの場を提供するためのユニークなワークショップ「sketching with clay (粘土でスケッチ)」も体験しました。時には自分の手を汚すのも大切ですね。

多彩なパネルディスカッションも行われ、さまざまな分野のテクニックやツール、ストーリーテリングの技巧、健全な考え方 (規律、献身、回復力など) の育成、業界での多様性の促進における成功例と課題、売り込みや仕事を獲得するためのヒント、燃え尽き症候群にならないための副業管理、ソーシャルメディアゲームのアップロード方法など、数々のニッチなテーマが取り上げられました。もちろん、AI もホットな話題でした。 LBX ではほかにも、ファンタジーのストーリーテリングにおける馬の重要な役割、松ぼっくりや鉱物といった自然の造形におけるテクスチャの捉え方など、驚くべきテーマも数多く紹介されました。

Artist Alley (アーティストの小路)と Procreate Dreams ブース

大きなブースはやはり人気です。見逃しようのない弊社のブースでも、3 日間にわたって数千人の来場者に Procreate Dreams を紹介しました。このアプリの開発に何年も取り組んできた私たちにとって、ユーザが手に取る様子を見るのは夢のようであり、とても励まされます。Procreate Dreams が実現する将来の作品のアイデアを語るクリエイターの皆さんからは、愛と興奮が伝わってきました。11 月 22 日のリリースまで数週間に迫る今、皆さんがどんな作品を生み出すのか楽しみでなりません。

Lightbox は、創作には努力と協力が不可欠だという事実に光を当てました。その文化と労力の結晶が映画上映会で映し出されたのです。LBX は、国際映画フェスティバル「Animayo」と提携し、受賞作品を紹介。さらに並行して、ドキュメンタリー映画『Pencils v Pixels』のプレミア上映も行われました。これは、1990 年代の 2D アニメーションの台頭、Pixar と DreamWorks が映画界を席巻したことによる 2000 年代の没落、そして、CGI 疲れがもたらした 2D アニメーションの復権の可能性を探る重要な映画です。弊社は Procreate Dreams が伝統的 2D アニメーションのこうした復活を後押しし、創造の新時代の到来を告げる存在となるものと期待しています。

Dreams & Nightmares アフターパーティー

最終日、「Dreams & Nightmares」と題された 2 次会を終え、私たちは溢れんばかりの希望と熱意を胸に会場を後にしました。まるで Lightbox 2023 の最後の瞬間まですべてを絞り尽くそうとするかのような来場者のエネルギーは、最後まで印象的でした。立ち寄っていただいた皆さまには大変感謝しています。アプリにかけるすべての努力が報われる思いです。

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